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■書名:カサノヴァ回想録
■著者:カサノヴァ
■編者:ジル・ペロー
■訳者:大久保昭男
■発行:社会思想社 現代教養文庫
■ISBN4-390-11171-X
<容姿に恵まれ、博識で、弁舌さわやか、筆が立ち、大胆で、精力的で抜け
目なく、人に好かるる頑張り屋。カサノヴァに呈された十指に余る肩書きのな
かで【色事師】ほど彼の面目躍如たるものはない。>まさにスーパーマン。「こ
ういう男になりたい」と誰しも思うであろう。本書はジル・ペローによって編
集された『カサノヴァ回想録』のダイジェスト版(文庫本で2冊にまとめられ
ている)。
■第1巻(色事師の巻)
時は18世紀、場所はヴェネツィア。第1巻でのクライマックスはムラーノ
での遊興。そこでの登場人物は、カサノヴァと修道院に入れられた15才のC・
C(女)、修道女M・M(女)とM・Mの愛人(男)。この4人の関係が凄い。
お互いの相手を抱きたいが為に、自分の相手が抱かれるのを容認する。修道女
同士のC・CとM・Mも互いに愛し合い、表面上4人がそれぞれ好感を持つ関係
をくずさない。しかし、覗き有り、3P有りの世界。そこでの【自尊心を満た
す為に、嫉妬心を抑え込む】手紙のやりとりは凄まじい。まさに、知力、体力、
精神力のパワーに溢れる。
■第2巻(脱獄の巻)
第2巻は、ピオンビの牢獄からの脱出から始まる。国事犯審問官の命令によ
って投獄されたということであるが理由ははっきりしない。<自分にはまるで
察しのつかない理由によって、一生ここに監禁されることになったのかもしれ
ないと考えた>カサノヴァは<生命を賭けて脱獄する>ことを決意する。<と
ころが、実際にはわたしには確信などまるでなかったのだ。しかし、(脱獄仲
間に対して)確信ありげに振る舞わなければならなかった。そうでないなら、
すべてを放棄するほかなかった>カサノヴァはあらゆる知恵を絞り、ついに脱
獄に成功する。
そして彼は振り返り、こう言う。<わたしが経験という偉大な書物を読んで
学んだのは、大きな企てを行うにはそれを検討したりすることなく、ひたすら
それを実行すべきであり、人間の企てすべてに対して運命がもつ支配力に逆ら
ってはならないということだった>。
その後カサノヴァは、42時間ノンストップのトランプ勝負をし侮辱されたと
思う相手と決闘し、すべてにおいて勝利を収めてきた。攻撃につぐ攻撃の人で
あり、女性に対しても<女の心をつかもうとする男の熱心な心遣いや思いやり
に抵抗しとおせる女などいないことをわたしは知っていたからである。その男
があえて大きな犠牲を払おうとしているときはなおさらである>と豪語してい
たカサノヴァであったが、性悪娼婦ニーナとの出会いから投獄のはめになり、
凋落の一途をたどる。
最後にはドゥクスの居城の図書係になり、道徳、言語学、政治学、数学、文
学、神学などあらゆる分野の問題に論及するも成功しない。そして、未来に死
しかないと感じたカサノヴァは、もう一度過去を生きることを考える。<自分
が手にいれた快楽を思い起こしながら、それを胸の中でくり返し、もう一度味
あうのだ>と決意し、『カサノヴァ回想録』を書くことになる。
1725年にヴェネツィア生まれ、そして1798年に死んだ。ナポレオン
が活躍する少し前である。
■おすすめ度:★★★★★