悠久幻想曲 「ヴァンパイア・ジュエル」第十二話




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「おい、後泉までどれくらいだ?」

「モウスコシデス」

シリウスは地図をこまめにチェックしながら、先へ先へと進んでいる。

俺は後ろをついて歩きながら、周りを見渡した。

森のかなり奥へと来ているわりに、このあたり一帯はそれほど

草木は茂っておらず、歩きやすくなっていた。

まあそのおかげでペースをあげて進む事ができるのだが・・・

「それにしても何か変な感じだぜ、この辺り・・・」

実際にどれくらいに変かといえば、言葉では少し説明しにくいが、

何か肌にこうぴりぴりくるよな・・・・何かがまとわりついてくるような

妙な圧迫感があるのだ。

さっきまでは何も感じなかったのだが・・・・・・

「ソレハオソラク、コノサキノイズミノエイキョウデショウ。

イマムカッテイルイズミニハ、トクシュナチカラガアルトイイマス。

イズミカラクルマリョクヲ、アナタガカンジテイルノデハナイカト・・・」

なるほど・・・・俺は魔法が使える分、その力が感知できるという事か。

それでこの変な空気も納得できた。

「シリウスは平気なのか?さっきから平然としてるけど・・・・」

「ワタシニハマホウハアツカウコトハデキマセンカラ。

イツモコレニタヨッテタタカッテキマシタカラネ」

シリウスはそう言って、腰に差してあるダガーをぽんと叩く。

生っ粋のプロってわけか、こいつ・・・・

「サテ・・・・ソロソロミエテクルコロダト・・・・」

「あーーー!?悠じゃない!!」

シリウスの声を遮って、甲高い声が森に響き渡る。

この声は・・・・・

「パティ・・・・か?」

「パティか?・・・・じゃないでしょ!!」



パシン!



突如こっちに近づいてきたパティが、俺の頭をはたく。

「いってーーな!目がちかちかするぞ!!」

「まったく・・・・・・ずっと心配してたのよ、私達!

マリアは全然見つからないし、あんたは全然追いかけてこないし・・・・」

どうやらかなり心配させてしまったらしい。

俺はさすがにばつが悪くなり、素直に謝った。

「悪かったな、パティ。心配かけて・・・・・」

「ま、まあ、無事だったからいいけどね・・・・

あ、シーーーラ!アレフーーーー!悠がいたわよーーーー!!」

パティは西の方角を向いて盛んに呼びかけると、

その方角から茂みをより分けて、アレフとシーラがやってきた。

「お、悠、大丈夫だったか?心配したぜ」

「悠君・・・・よかった、無事で・・・・・」

二人は俺の顔を見ると、安心したように表情をゆるめる。

「・・・・ホントウニイイナカマデスネ、ユウサン」

シリウスはどこかうらやましそうに言ったように俺は感じた。

「あ!?悠、こいつ・・・・・」

「いや、大丈夫だ。この人はもう敵じゃない」

警戒しはじめるアレフ達を、俺は軽く止める。

「・・・・どういう事よ?もう敵じゃないって・・・・?」

「ああ、実はな・・・・・・」

俺は先ほどのシリウスとの会話をみんなに話した。

「はははははは、つまり俺達とハンターを間違えた訳か」

アレフはしきりにおかしそうに肩を震わせる。

「私達ってそんなに悪そうな顔、してるのかしら?」

パティは少し気になるのか、顔をぺたぺた触っている。

「まああの状況の上に、シリウスはこの町出身じゃないそうだからな。

勘違いするのも無理はないって」

俺がシリウスのフォローをすると、シリウスはもうしわけなさそうに、

「ミナサンニハゴメイワクヲオカケシマシタ」

シリウスが謝罪すると、アレフ達も少し照れくさそうにして、

「いや別に気にしなくていいよ。被害にあったのは悠だけだしな」

「・・・・それはどういう意味かな、アレフ君?」

俺はアレフをギロッっと睨み付ける。

「はいはい、けんかなんてしてる場合じゃないでしょ。

早くその泉に、マリアを捜しにいかないと・・・・」

「あ、そうだったな。じゃあ案内頼む、シリウス」

「ワカリマシタ。モウスグソコデス」

シリウスはそう言って、再び歩きはじめた。

「・・・・マリアちゃん、見つかるといいね、悠君・・・」

「ああ、絶対見つかるって!」

根拠はまったくない・・・・・・でも、マリアはそこにいる。

何となくだが、俺はそう感じた。

「それじゃあ行くわよ、悠!ほら、ぼやっとしない!!」

パティは俺の手を引っ張りながら、シリウスの後を歩きはじめる。

たく、相変わらず強引だな・・・・・

「俺達も行こうぜ、シーラ」

「・・・・うん」

こうして俺達はシリウスの案内のもと、一路泉へと目指した。





「チズニヨルト、コノアタリノハズデスガ・・・・・」

地図を見ながら、シリウスは場所を特定しはじめる。

この辺りか・・・・・

「・・・・さっきから、魔力が強くなっているみたい・・・・・」

シーラは少し顔色を悪くしながら、周りをきょろきょろ見ている。

確かにさっきから進んでいくたびに、周囲の感覚がより一層変わってきている。

俺よりシーラのほうが魔法の熟練度が高い分、おそらく

この空気をより一層強く感じているのかもしれない。

「シーラ、大丈夫?気分が悪そうだけど・・・・・・」

「・・・・大丈夫、私はまだ頑張れるわ。それよりも

マリアちゃんやハーリーさんを優先しないと・・・・・」

シーラは全然何ともないというように、にっこり笑った。

・・・・本当に優しい娘だな、シーラは・・・・

「・・・・あれ?あれは・・・・・」

「どうした?何か見えたのか、アレフ」

「いや・・・・あれって何だと思う?」

アレフが指差す方向を見ると、白みはじめている木々の間をぬって、

一つの強い光があった。

あれは・・・・・

「多分あそこが泉だ。魔力もあそこから感じる・・・・」

「でもなんで光ってるんだ?」

「ソレハワカリマセン。デモ・・・・・」

「行くっきゃない、でしょ!」

パティの言葉に、シリウスはうなづいた。

「よし、行こう!」

俺が光のところまで駆け出すと、みんなも後からつづいた。

はあはあ・・・・・無事でいてくれよ・・・・マリア・・・・・





すると・・・・・・・・


「こ、これ・・・・は?」

「・・・・・スバラシイ」








<エピローグ −精一杯のありがとうを− に続く>

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