悠久幻想曲 「ヴァンパイア・ジュエル」第九話




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ガサガサ



マリアを捜すために森に入った俺達は、草木をかき分けながら

マリアの手がかりはないかと調べまわっていた。

今のところなにも見つかっていないが。

「いやに草木が多いな・・・」

「そりゃあ森なんだから当たり前だろう」

「いや、そうじゃなくて俺はどうして何にも人の手が入ってないんだろうなって

言いたいんだ。西の山や雷鳴山でも頂上あたりまでは、人が通れるような

道があるだろうが」

これは特に町や村から近い山々や森ならば当然のことである。

なぜなら人が必ず利用するからだ。

「このあたりはモンスターが出るって聞いたことがあるわ。

どの程度までなのかは分からないけど・・・・・」

シーラは自信がなさそうに呟いた。

「モンスター!?本当かよ、シーラ」

アレフが慌てて聞き返した。

「う、うん・・・・ずいぶん前のことなんだけど・・・・」

「おいおいしゃれにならないぞ、それは」

「あーもう、うるさいわね!そんなに慌てなれたら、こっちまで

不安になっちゃうでしょう!」

パティが俺の後ろからアレフに向かって怒鳴る。

ちなみに今俺達は自然が険しいため、一列に並んで歩いている。

順番は前から俺、パティ、シーラ、アレフである。

前後を俺とアレフでかためておけば、もし何かあっても

迅速に対応できるからだ。

「だってよ・・・不安になって当然だろ。いくら捜しても見つからないし」

「だからっていちいち口に出して言わなくてもいいでしょう。

みんなだって必死なんだから・・・・」

パティは声を張り上げて文句を言っているが、いつもの元気がない。

無理もないか・・・・昼からぶっ通しで頑張ってくれているからな・・・

「アレフ、絶対マリアは見つかるはずだ。それにモンスターに襲われても、

マリアは魔法を使うだろうしな」

「あ、そうか、そうだよな・・・・悪い、パティ、みっともなく騒いじまって。

ちょっと焦ってるかもしれない」

「いいのよ・・・私もちょっと言い過ぎたわ」

・・・なんか雰囲気が暗くなってきたな・・・よし!

「さあ、もうちょっとだ。頑張って捜そうぜ!

マリアのことだから早く捜してやらないと文句を言われそうだからな」

「だな。あいつの文句はくどいからな・・・・・根に持たれたらやっかいだ」

俺が笑って言うと、アレフも調子をあわしてくる。

「そうね。あの娘、素直じゃないからね・・・・もう少し素直になったら

可愛いんだけど」

「ふふふ・・・・」

シーラもパティも顔に元気が戻ってきていた。

さて・・・後一踏ん張りといくか!

俺達は森の奥深くへと足を進めていった。





「マリアー!どこだーー!!」

「マリアちゃーーん!どこにいるのーー!!」

さらに険しくなってくる草木を必死でかき分けながら、

俺達は声を張り上げて、マリアを捜した。

「はあはあ・・・・喉がいてえ・・・・」

「くそ〜、なんで見つからないんだ・・・・・・」

あいかわらず手がかりすら見つからず、俺達は少し疲労していた。

「はあ〜、私もさすがに疲れたわ」

「私も・・・・・・」

かくいう俺も今は歩くのもけだるいほどになっていた。

俺達はとりあえず座れそうな場所を探して、一時休憩をとることにした。

「はあ・・・・さすがにこんなに暗いんじゃな・・・・

俺の服も靴もドロドロになったぜ・・・・」

「ははは、その服、新品だったんだっけ?

さすがにもう次に着るのは無理だな、アレフ」

アレフはしきりに泥を払ったり、汚れをふいたりしている。

「あ、そういえばシーラは大丈夫なの?こんなに夜遅くなったら、

家の人が心配するんじゃないの・・・・・?」

「そういわれてみれば・・・・大丈夫なのか、シーラ?」

パティが言うまですっかり忘れていたが、シーラのほうも家の事情が

いろいろとあったんだっけ・・・・。

ジョートショップの手伝いも、シーラの好意でやってくれているものの

家での調整は大変だったみたいだしな・・・。

だがそんな俺達の心配とは裏腹に、シーラはというと

「大丈夫よ。さっきここに来る前にジュディに言っておいたから。

それにお友達が大変なときに私が家でじっとしているわけには行かないわ」

シーラは何でもないと言うように、にっこり笑った。

「シーラ・・・・なんて優しいんだ。俺は惚れ直したよ」

「はいはい、たわごとはいいから」

「た、たわごとってパティ・・・・」

「日頃の行いが行いだからな、アレフ」

「何でお前までつっこむんだ、悠!」

そんな感じでしばらく和んでいたが、やがて・・・・・

「・・・なあ、なんか明るくなってきてないか?」

アレフが周りを見渡しながら、なりげなく呟いた。

「そういえばさっきまで真っ暗だったのに、少しずつ森の奥が

見えるようになってきてるわね・・・」

パティが今まで俺達が進んできた方向をじっと見ている。

これはやっぱり・・・・

「・・・日が昇りはじめてるんだ。急がないと!」

俺は立ち上がって歩きはじめる。

「おいおい、どうしたんだ、急に?」

「忘れたのか?ハーリーさんは今かなり危ないんだぞ。

朝までにヴァンパイア・ジュエルを持っていかないと・・・」

「そうよ!ハーリーさんの命が危ないわ!!」

いよいよ夜の時間も終わりに近づいている。

早くマリアを捜さないと・・・・・・

「悠君、このままじゃ間に合わないわ。みんなで手分けして捜すしか・・・」

「いや、こんな森で手分けして捜すのは危険だ。

マリアが見つかってもみんなが迷う恐れがある」

とりあえず帰り道は木に目印をつけてきたから安心だが、

みんなが散らばるのは危険行為と言えた。

「でもこのままじゃ間に合わないぜ、悠」

「く・・・」



「ソンナコトヲカンガエルヒツヨウハナイデスヨ」



「!?お前は・・・・」

そばの茂みをより分けて、一人の男が俺達の前に対峙する・・・・・








<第十話に続く>

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