こみっくパーティ 「TOMORROW」その二
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「皆で集まっての親睦会みたいなものか?」
皆でと言うからには夕ご飯というより宴会だろうと、俺は逆に聞き返すと、
「そうやそうや。うちらが知りおうてもう大分経つやろ。
それでせっかくの機会やし、一度皆で集まって盛り上がろうやないかと
このうちが直々に企画したんや!!」
ババン!と漫画の擬音がバックに合いそうな勢いで、由宇は胸を張る。
その姿と声は容赦なく目立つが、現在コミパが終わった後のごたごたで
会場内の人間はこちらに視線は向いてはいなかった。
まあ約一名目立っている人間がいるからな・・・・
俺が聞いていない事に気づきもせず、ひたすら虚空に話しかけている大志を見て、
俺は他人の振りをする事にした。
瑞希も俺と同じように感じたのか、もはや視線も向けていない。
「で、でもいきなり今日じゃ皆の都合とかもあるし・・・」
瑞希が戸惑い気味に口を挟む。
だがそんな瑞希の疑問は予測済みだったか、由宇はにやりと笑って、
「ふふふ、うちがその辺を予想してないとおもってたんか?
ふっふっふ、まだまだ甘いで、瑞希っちゃん。
うちのような軍師になりたいならもう少し頭を回転させてひねらんとな」
「わ、私そんなそういうのはちょっと・・・・」
「ていうか、軍師ってなんだ軍師って?」
遠慮がちな瑞希と俺のつっこみにも、眉一つ動かさない由宇。
この辺の胆力はただ者ではないといえるだろう。
「コミパの休憩時間、及び空いた時間を利用してもうすでに皆の所へ廻ってきたんや。
時間帯、場所、全部伝えてきたで。
全員参加決定や!」
げ!?もう皆のとこにまわってきたのか、由宇!?
あらかじめ手配してある所が、用意周到というか何というか・・・うん?
ふと頭に疑問点が湧いて、俺は由宇に尋ねた。
「皆ってひょっとして・・・・・あのメンバー?」
「あのっていうのがどのメンバーかうちもよく分からんが、そのメンバーや。
多分和樹が思っておるのと同じやと思うで。
あの兄妹は探すのに苦労したけど、きちんと伝える事は出来たし」
「うわ、やっぱりかーー!?」
予想通りのメンバーで、俺は頭を抱えた。
それにしてもまさか郁美ちゃんも呼んでいるとは恐るべき由宇・・・・
「和樹、あのメンバーってひょっとして・・・・・・・・」
「ああ、いつものメンバーだよ。
詠美、彩、玲子ちゃん、千紗ちゃん、南さん・・・・それと郁美ちゃん達だな」
俺はそう言って、彼女達のそれぞれの顔を思い浮かべる。
別に彼女達と騒ぐのはいやなわけじゃない。
俺はあの子達が好きだし、友達であり大切な仲間だ。
ただ・・・・宴会とかのイベントになると、トラブルが何か起きそうだと思うのは
俺が心配性すぎるだろうか?
「とすると、当然あの人も誘ったのか、由宇?」
「ああ、あのでかい兄ちゃんの事やろ。勿論誘ったで。
『あの男と酒がのめるのが楽しみだ』とかいうとったで、よかったな」
いや、そう言われても何か複雑なものがあるのだが・・・・・
妹想いの優しい人なのだが、不器用な所があるのか、
あの人はちょっとこう話しづらい所があるからな・・・・
「でも、よく皆予定が開いてたのね・・・・
突然の話じゃひょっとしたら無理な人とかがいるかもしれないと思っていたのに」
「なんや、瑞希っちゃんは来たくないんか?」
「あ、そ、そういうわけじゃないんだけど・・・・」
いつも物事ハッキリしている瑞希にしては、妙に歯切れが悪い。
恐らく俺と同じように、突然の企画への驚きと
揉め事になるかもしれない事を懸念しているのだろう。
そう思った俺は横からフォローをする。
「瑞希にとっては初対面に近い奴等が多いからな。無理ないだろ。
それにコミパ自体にも巻き込む形でふれてきたからな・・・」
よく考えたら、瑞希をこうして巻き込んでいる最大の原因は俺なのだ。
好きな事をしているからといっても、瑞希に心配かけているのには間違いない。
まあ今では瑞希もコミパの事には理解をしてくれているようだが・・・・
「瑞希っちゃんはそう言えば詠美はおろか、玲ちゃんとかも初対面やったな。
まあでも、皆気がいい連中やからすぐに仲良くなれるって。
うちにドーンと保証するさかい、安心しとき」
「う、うん・・・玲子さんには何度かお世話になった事があるけどね」
そう言えば初めてコスプレした時にあの子に助けてもらったんだよな、瑞希って。
今でも連絡とか取り合ったりしているのだろうか・・・?
「まあそういう訳で皆に連絡したから安心しとき。
時間は夜19:00時、場所は例の駅前や」
「19:00?少し遅くないか?」
「あほ、男のあんたはともかく女の準備には時間がかかるんや。
そういう所を気にせえへんと、一人前にはなられへんで」
・・・・そういう所がないと男として半人前なのだろうか?
少々疑問に思ったが、由宇の手前黙っておいた。
下手な反論は、どつぼにはまるだけだ・・・・
それに瑞希も俺を見て、こくこく頷いてたりしている。
うう・・・・・・・
「でも、女の準備ってただご飯食べて盛り上がるだけだろう?
別に普段着でもいいと思うけどな・・・・・」
俺としては無難な発言だったと思うが、どうやら由宇にはお気に召さなかったようだ。
眉をつり上げて、由宇はびっしと反論してきた。
「甘い、甘いで!あんたのような朴念仁には100年かかっても理解できひんやろうけどな、
こういう何気ない集まりでも、あんたがおるというだけでちがうんや」
「え?だからなんでそこで俺が出る?」
「かー、わかっとらん、わかっとらんや・・・・
瑞希っちゃんの苦労も分かるわ」
心底同情したように、由宇は瑞希に視線を送りため息を吐いた。
すると逆に瑞希はかあーと顔を紅くして、
「ちょ、ちょっと待ってよ!私は別にその、そういう風には思っているわけじゃないし、その・・」
だんだん声を小さくしてごにょごにょと呟き声に変わっていく瑞希。
そんな瑞希を見て、由宇は意地悪い顔をする。
「そんな事いうててええんか、瑞希っちゃん〜。
今日皆来るのかて、『和樹も来るで』っていうたからやで〜」
「え?俺が来るからどういう事なんだ?」
「あんたにいうても意味ないから説明はなしにしとくわ」
あっけらかんと言う由宇に、釈然としない物を感じた。
一体俺が来るからどういう事なんだ・・・・?
まさか皆で俺をからかおうとかそういう風に企んでたりしてないだろうな・・・
そう考えるとありえそうで、俺は不安になった。
「ね、ねえ猪名川さん・・・・それ、本当なの?」
「ほんま、ほんま。瑞希っちゃんもちょっと気合いれんとあかんかもしれんで」
その言葉を聞いて、何やらじーと考える瑞希。
訳がわからない俺は、いつの間にやら蚊帳の外にされているようだ。
仕方がないので、俺は今日のスペースの片づけに入った。
「・・・やから、玲子ちゃんも実は・・・・」
「ええ!?本当!?うう、やばいかも・・・・」
「まあまあその辺はうちに・・・・」
視線を向けると、二人はいつのまにか内緒話をしていた。
うーむ、かなり気になるがどうせ聞いても答えてはもらえないだろう。
そう悟った俺は二人の邪魔をせず、マイペースで片づけをこなしていった・・・・
そして数十分後。
「・・・・と、そういう事でうちは準備もあるから、そろそろ行くわ。
二人もちゃんと遅れんように来いや」
「・・・何気に参加扱いになっているが、俺はまだ行くとも何とも・・・」
そう言いかけた俺の口を、瑞希は横から塞ぐ。
「分かったわ、猪名川さん。それじゃあまた後で」
瑞希はにこにこ笑顔で、由宇に向かって手を振る。
「瑞希っちゃんも頑張りや。うちは先にお店に行って予約とっとくわ。
まあ事前に電話もかけたから、楽勝やと思うけど。
それじゃあ、また後で会おうな」
由宇も上機嫌で、軽い足取りで会場を去っていった。
うーむ・・・・・・
「なあ瑞希。さっき二人で何を話していたんだ?」
「え?う、ううん、別にただの世間話。和樹が気にする事じゃないわよ」
うーん、そう言われても気になるが・・・・
しかしながら、追求してもまともな返事は返ってこないだろうという事はこれまでの付き合いで分かっていた。
「結局俺達も参加って事になったな。まあ楽しそうだけど」
「いつも巻き込まれ型ね、和樹も私も。でも、興味出てきたけどね・・・」
「興味って何が?」
「和樹の周りにいる人達の事よ」
「え・・・?」
少し表情を曇らせてそういう瑞希に、俺は疑問の声を上げる。
「あ、別に何でもないわよ!?さ、さあ帰りましょう。
もう片づけも終わったんでしょう?周りの人達、もう帰り始めているわよ」
確かにもうそろそろ俺達がラスト組に近くなってきた。
いろいろと気になるが、その辺はまた後で聞けばいいだろう。
俺は手早く荷物をまとめて、帰り支度を済ませる。
「さて行こうか、瑞希」
「うん、今日もお疲れ様、和樹」
夜の宴会か・・・・・・・あれ?
なにか忘れているような気がするが・・・・・・・
「あれ?」
「どうしたの、和樹?」
「あ、いや、何でもない」
まあ思い出せないならたいした事はないだろう。
俺は瑞希と二人、今日行われたこみっくパーティ会場を後にした・・・・・
「・・・・という訳でだ!!我々の未来はすぐそこまで迫っているのだ、マイブラザーーー!!」
ヒュウウウ・・・・・・
会場内に、一陣の風が舞った・・・・・
<その三>に続く
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