kanon 「天気のいい日に」




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「真琴〜、あれ、どこに行ったんだ?」

真琴の部屋のドアを開けてみると、部屋の中には

誰もいなかった。

おかしいな・・・さっきまでいたはずだが・・・・・・・

「おい、真琴!隠れても無駄だぞ、こら!」

部屋の中で大声を上げて真琴をいぶり出そうとしたが、

返答一つ返ってこなかった。

くそ〜、この部屋にはいないのか・・・・・・・・・

俺は結局部屋から出て、ドアを閉めた。

「真琴の奴、どうしたんだ?トイレにでも行ったのかな・・・・」

う〜む、真琴のくせにちょこざいなやつめ。

よし、これまでのあいつの行動パターンから予想してみよう!

今日はあいつは確かバイトは休みのはずだ。

それで、さっき一緒に秋子さんが買ってきてくれたショートケーキを食べて、

一休みするとか言って、部屋に戻ったよな。

その時の時刻は午後3時30分。

その後、俺はテレビを見ていて、一時間ほど居間でくつろいでいた。

その間に、あいつが部屋から出ていった様子はない。

すると・・・導き出される答えは次の三つだ!





@真琴はトイレで用を足している。

A名雪の部屋にいて、名雪と遊んでいる。

B俺を驚かそうと、部屋でスタンバッている。





・・・・・なんかどれもありそうでいやだな・・・・・・・・

だがまあ暇つぶしにはちょうどいいかもしれんな。

さて解答は・・・・・・・・@だ!

俺は即時即決で結論を出し、トイレの前へとダッシュする。

そして、トイレのドアをノックしながら、呼びかけてみる。

「真琴、いるか〜。いないのならいないって言え〜〜」

・・・・・名雪や秋子さんには見せられない光景だな・・・・・

自分の今の姿を想像して、ちょっと恥ずかしくなる。

それにしても返事がないな・・・・・・・

ここでいないよ〜とか言ってくれたら、指差して馬鹿にするのだが。

念のためドアを開けて中を見るが、誰もいなかった。

まあもしいたら大問題なのだが・・・・・

「さて、ここにいないとなると・・・・・・・正解はAか!」

俺はすばやく階段を上がって、名雪の部屋の前に立った。

そして部屋の中にいる名雪に声をかける。

「名雪、そこに真琴はいるか?おーい、名雪?」

「・・・・・・・・・・・うにゅ〜・・・・・・・・・・・・」

部屋の中から寝ぼけたような名雪の声が聞こえてくる。

こいつ、昼寝してたな・・・・・・

「名雪、聞こえているのか!おーい!」

どうも不安になり、もう一度名雪に呼びかけた。

「・・・・う〜、聞こえているお〜」

本当にちゃんと対応できているのか、こいつ?

「よし、じゃあ質問に答えてみろ!」

「・・・ほ〜い」

「32+43は?」

「・・・・・・・75」

一応あってるな・・・・・・

「昨日食べた夕食のメニューは?」

「・・・カレーライス」

「明日の天気は?」

「・・・快晴、夕方から曇り」

何で明日の事がお前に分かるんだ!

よーし、取っておきの質問をしてやる・・・・・・

「じゃあ俺の昨日のトイレに行った回数は?」

「・・・・じゅう・・・・わ、わ!」



ドカダァーーーーン!



突然名雪の部屋の中からものすごい音が聞こえてくる。

・・・・・・あいつ、びっくりしてベットからおちたな・・・・・

それにしても・・・・・・・・

「うう・・・痛いよ〜、祐一、ひどいよ〜」

部屋のドアが開いて、名雪が中から出てくる。

額を押さえているところを見ると、ベットからおちてうったようだ。

本人も涙目になって、抗議してくる。

「祐一、もう少し普通に聞けないの?」

「いたって普通だったじゃないか」

「どこがだよ・・・・さっきだって、その、あの・・・・・」

顔を赤くして、ごにょごにょと名雪が呟く。

「そうそう、それで聞きたかったんだが、お前、さっき俺の質問に

答えようとしてただろ?」

ビシッと指をさして、名雪を問い詰める。

名雪はやたらとうろたえつつ、反論した。

「そ、そんなことないよ。ど、どうして私が祐一の・・・・・・・

え〜と、その、あの回数を知ってるんだよ・・・・・」

「いや、お前なら何となく知ってそうだ。

ふう・・・・・名雪、お前との仲はこれまでだな・・・残念だ・・・」

名雪の肩に手を置いて、俺は心底残念そうに首を振る。

「祐一、ひどいよ〜。私はそんな事、しないよ!

祐一じゃあるまいし・・・・・・・」

「こら!まるで俺がやっているみたいな言い方じゃないか!」

「祐一だっておんなじだよ〜」

「・・・・まあ、そういうことにしておいてやるか。名雪が可哀相だしな」

「その言い方は誤解を招くよ〜、祐一・・・・」

名雪は不満そうな顔をしたが、それをあえて無視して本題に入った。

「ところで真琴、見かけなかったか?ひょっとしたら、

お前の部屋にいるかと思ってここに来たんだが・・・・・」

「・・・・・・・あいかわらず祐一って人の話を聞かないよね・・・・はあ・・・・・

真琴ならここに来てないよ」

ため息を吐きながらも、名雪は教えてくれた。

「そっか・・・・あいつ、どこに行ったんだ、まったく・・・・」

「部屋にはいなかったの?」

「いないから、こうして名雪に聞きに来たんだよ」

「う〜ん・・・・外に遊びに行ったとか?」

「いや、あいつが家から出た形跡がないんだよ。となると・・・・・・

よし、分かった。起こして悪かったな、名雪」

「ううん、別にいいよ。じゃあ私はこれで・・・・・・・」

「おう、じゃあおやすみ」

俺は名雪に礼を言って、部屋から離れた。

それにしても名雪、よく昼間からくーくー寝られるな・・・・・・・

睡眠時間12時間がベストとはいえ、時々感心してしまう。

そんなことを思いながら、俺は自分の部屋に戻った。

「残る答えはBか・・・・・・」

俺は少し警戒して、自分の部屋の中に入る。

時々しょうもないいたずらを今でもするからな、あいつ。

「真琴〜、いるか?」

部屋の中をあちこち見てまわったが、どこにも人影すらなかった。

だが・・・・・・・なんとなくだが、ここにいるような気がする。

特に真琴の事に関しては、俺の勘は良くあたった。

「真琴、ここにいるのは分かってるぞ。出てこい!」

部屋の中をしきりにうろつきながら叫ぶが、返事はない。

くそ、一体どこに・・・・などと思っていると、

「おや?」

ベットの上に、一つのふくらみがある。

・・・・・・・・ほほう、誰もいないはずの部屋のベットにふくらみね〜

ここまでやられると、結構はじめは気づかないもんだな・・・・・

本人はうまく隠れていると思っているだろう。

俺は笑いをこらえながら、とぼけた声を出す。

「あれ〜、真琴はどこに行ったんだろうな〜?」

俺はわざと真琴に聞こえるようにそう言いながら、

ベットの上に勢いよくねっ転がった。

「ふにゅ!?」

何やら下でうめき声が聞こえてくる。

「おや〜?何やら声が聞こえたような気がするが、気のせいかな〜?」

「・・・・き、気のせいよ、気のせい!」

ねっ転がっている俺の下から、慌てたような声色で、真琴は俺の独り言に反応した。

ふふ・・・・馬鹿めが・・・・・・・

俺は大笑いしそうになるのを必死でこらえて、さらにとぼけた声を出す。

「そうだよな〜、気のせいにきまってるよな〜。真琴がまさか俺のベットに

無断でねっ転がって隠れるとは思えないしな〜」

などといいつつ、俺はベットに派手にねっ転がった。



バタン!



「うえええ〜〜〜」

すると耐え切れなくなったのか、真琴が俺を押しのけて飛び出してくる。

「おお、真琴君じゃないか。そんなところにいたのかい?」

「・・・・知ってたでしょ、祐一・・・・・・」

真琴は目眩を振り払うように頭を振りながら、俺を非難してきた。

「それは心外だな〜。ぼくはここに君がいるなんてまったく分からなかったよ」

「何でそんなおかしな話し方になるのよ!」

ち、なかなか知恵がついてきたな、こいつ・・・・・・

「そういうお前こそどうして俺のベットに寝てたんだ?

寝るのなら、自分の部屋で寝てれば良かっただろう・・・・・」

「あう〜そ、それは・・・・ま、真琴はベットでないと寝れないのよ」

「普段床でぐうすか寝てるだろうが!」

ここぞとばかりに責めると、真琴はとたんに弱気になった。

「だ、大体祐一がいつまでもテレビばっかり見てるのがいけないんじゃない!

せっかく祐一に用があったのに・・・・・・」

「俺に用?真琴から用事なんて珍しいな・・・・・・どうした?」

少しびっくりしながらも、俺は話の先を促した。

「うん、実はね・・・・保育園の子供たちに折り紙を教えようと思ってるんだけど・・・・

全然折り方とか知らないのよ。それで祐一に・・・・」

「教えてほしいという訳か?」

「そう!祐一なら知ってるでしょう?」

真琴はいつになく期待のまなざしで、俺を見つめる。

正直頼られて悪い気は全然しなかったので、

俺はいろいろと折り方を教えてやる事にした。

「ああ、別にいいぞ。今日は暇だったからな・・・・・・」

「本当に!?あ、でもなんか祐一、さっきから真琴をさがしてたみたいだったけど、

何か用事があったの・・・・・?」

「・・・いやたいしたことじゃないんだ・・・・・それより早く折り紙もってこいって」

「分かった、すぐに持ってくるね!」

真琴は嬉々として、部屋から飛び出して取りにいった。

俺の用事か・・・・・今更言えないよな・・・・・・





・・・・・今日はいい天気だから、あの丘へいかないか?・・・なんてさ・・・・





少し思いにふけっていると、ドタバタと足音がこちらに向かってくる。

・・・・・まったくあわただしい奴だな・・・・

「祐一、持ってきたよ!」

真琴は手の中にいっぱいに色とりどりの折り紙を持ってきていた。

赤、青、白・・・・・・・・・さまざまな色がそこに舞っていた。

「お前な・・・・こんなにいっぱいどうするんだ?」

「いいじゃない、いっぱい作れば!ささ、教えてよ」

「分かった分かった・・・・・・」

真琴のはしゃぎぶりに俺は思わず笑みをうかべつつ、

丁寧におっていく。

そんな俺の手つきを真琴は身を乗り出して、みのがすまいとしている。

よっぽど子供たちに教えたいのだろう・・・・・




・・・そうだな・・・別に外に行かなくたって・・・・・・




「どうしたの、祐一、手が止まってるよ?」

「あ、悪い悪い・・・・・・」

俺は、その折り紙で一つの紙ヒコーキを作った。

今度は二人で飛ばすために・・・・・・・・









<終>

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