kanon 「休日の過ごし方」




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「はあ、退屈だな・・・・」
俺は読んでいた漫画を放り投げて、ベットに寝そべる。
何の用事も約束もない休日。
休みなのは大いに結構だが、
こうもやることがないと、逆に疲れがたまりそうだ。
「何かこう刺激的なことはないかな・・・。
いきなり学校が大爆発するとか・・・」
自分で言ってて、かなり物騒な発言である。
「しかたない。どこかぶらつくか・・・」
俺は起き上がり、部屋から出ようとすると、

ドタドタドタ・・・

廊下からえらく騒がしい足音がこっちに近づいてくる。
あの足音・・・名雪はまだ寝てるだろうし、
秋子さんはあんな派手に音を立てて歩かない。
ということは、真琴だな。
俺はすばやく推理を働かせて、とっさにベットの下に隠れる。
その少し後、ドアを派手にあけて、真琴が入ってくる。
「祐一!あそ・・・あれ?」
フフフ、きょろきょろさがしてるな。
「ここに居ると思ったんだけど・・・・・」
真琴はしばらくきょろきょろしていたが、やがて
部屋から出ていった。
どうやら足音から察するに、一階にいると思って
下に行ったな。
相変わらず単純な奴だ。
思わずベットの下で笑っていると、
またどたどたと足音がこっちに近づいてくる。
「あうー、下にもいない。靴はあるのに・・・。
どこに居るのよー、祐一」
ドアを開けて、真琴が入ってくる。
どうでもいいけど、ノックくらいしろよ。
「どこよー。でてきなさいよー」
真琴は座布団をひっくり返したり、押し入れを
あけたりしている。
座布団の下なんかにいるわけないだろうが。
思わず心の中で突っ込む俺。
「出てこないと怒るわよ」
おいおい、机の引き出しなんか開けるな。
俺は小人か?
「あうー、本当に怒るわよー」
だんだん泣きそうな顔になってきた。
これ以上はかわいそうかな・・・
俺がそう思いはじめた時

ひょこ!

真琴の頭の上に乗っていたピロが床に降りる。
ピロはひょこひょこ歩きながら、こちらのほう、
つまり俺の方によってくる。
わ、馬鹿!こっちに来るんじゃない!!
「うん?どうしたの、ピロ?」
真琴がそう言いながら、かがんでこっちを見つめる。
その瞬間、俺と目が合った。
「あーー!こんなところにいた!!」
真琴が声を張り上げて、俺に声をかける。
う、見つかったか・・・・
「ちょっとでてきなさいよ、祐一!」
「くー」
「寝たふりしてもだめ!」
「あう−」
「真似しないでよ!」
仕方なく観念して、俺はベットから這い出た。
「何でベットの下で寝てるのよ!」
「俺はベットの下じゃないと寝れないんだ」
「うそつきなさいよ!いつも上で寝てるじゃない」
く・・・俺のうまい言い訳を簡単にいなすとは・・・。
「うう・・・俺がわるうございました」
「初めから素直にそう言えばいいのよ」
勝ち誇った顔で、真琴は胸を張る。
俺が悪いとはいえ、何か腹立つぞ。
「で、何のようだ、殺村 凶子」
「誰が殺村 凶子よ!」
「もちろんお前」
「私の名前は真琴よ。ま・こ・と」
真琴は俺の両頬を引っ張る。
「ひひゃいひゃめんか(いたい、やめんか)!」
「ははは、何言ってるかわからないわよ」
「ひゃなせてっての(はなせっての)!」
俺は手を振って、真琴の手を払いのける。
「いってえー、まったくお前は加減を知らないな」
「祐一が変なことを言うからでしょ。
それより祐一、トランプしよ」
真琴は手に持っているトランプを俺に見せる。
「このトランプ、名雪にかりたのか?」
「うん。それで何やる?」
「おいおい、まだやるとはいってないだろうが」
「いいじゃない。やろうよ」
「俺だって暇じゃ・・・・・」
「ベットの下にいるくらいだから、暇なんでしょ」
なかなか痛い所をついてくるじゃないか・・。
「わかった。じゃあやるか・・」
早速座布団を用意し、俺はトランプをシャッフルしはじめた。


「ほれ、次はお前の番だぞ」
「あうー」
今やっているのは「七ならべ」で、
3パスで負けというルールにしてある。
俺は1パスも無し、真琴は2パスでもう後が無い状態だった。
「祐一、ハートの6、持ってる?」
「俺とお前、二人でやってるから当たり前だろ」
「ううー、出しなさいよ」
「だめだ。それじゃあ勝負にならないだろうが」
「あうー、いじわるー」
運に恵まれていたらしく、俺には結構いいカードがきていた。
「ほらほら、早く出せって」
もう真琴には出せないとわかりつつ、俺は真琴に言った。
「どうしようー、えーと・・・・」
「降参か?」
「ま、まだよ。絶対負けないんだから!」
「なら早くだせよ」
「あうー」
真琴は半泣き状態で、自分のカードを見ている。
俺はそんな真琴の様子を見ながら、
(まったく・・・こんなところは子どもだからな・・・)
俺はそう思いながら、トランプを片づけ始めた。
「あー!何するのよ!!」
「どうせもう出せないんだろ?お前の負けだ」
「きーー!くやしいーー!!」
真琴は自分のカードをほおりなげ、手足をばたばたさせる。
「祐一、もう一回勝負よ」
「いい加減あきらめろよ」
ちなみにこれでもう12回目である。
「私が勝つまでやるの!絶対次は勝つんだから!!」
「さっきからずっとそういってるだろ、お前」
最初は「ババぬき」からはじまって、「ポーカー」、
「神経衰弱」、「ブラックジャック」、「大富豪」、
で、この「七ならべ」と続く。
勝負の結果は、無論俺の全勝。
「つ、次は「ザブトン」で勝負よ」
あ、あのゲームをやるのか・・・。
あれをだらだらやってたら、夜中になってしまう。
なんとかやめさせよう。
「もうやめようぜ。それより新しい漫画買ったから読んでやるよ」
「ほんと!祐一!!」
勝負に負けて不機嫌だった真琴は、パッと表情を明るくし、
俺の方によってくる。
「祐一、早く読んでよ」
俺は早速漫画を取り出し、真琴の前で広がる。
「じゃあ、読むぞ。・・・それはある国でのこと・・・」


「・・・お前はそれでいいのか・・?・・私は・・・うん?真琴?」
「・・・スー・・スー・・・」
真琴は俺にもたれかかりながら寝ていた。
「まったくお前は本当に・・・・」
俺は真琴の頭をなでていると、
「・・・・祐一・・・・・・・・」
「うん、どうした?」
「・・・・スー・・・スー・・」
何だ、寝言か・・。
俺は真琴を後ろから軽く抱きしめる。
(ま・・・こんな休日も悪くないか・・・)
真琴のぬくもりを感じながら、俺は目を閉じた。









<終>

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