kanon 「桜咲く季節に 第二話」
--------------------------------------------------------------------------------
俺は名雪と別れ、前を歩く二人に声をかけた。
「おはよう、佐祐理さん、舞」
「あ、おはようございますー、祐一さん」
振り向いた佐祐理さんがいつもの笑顔を見せてくれた。
一方、舞は・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
あいも変わらず、ちらっと振り向いただけだった。
両極端というかなんというか・・・・
俺は舞を目をあわせてみる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・おはよう」
「だからさっぱり言えんのか、お前は!」
「はははー、照れてるんですよ、舞は」
ポカ!
舞は朝一番のチョップを佐祐理さんにあてる。
「・・・照れてなんていない」
「いやー、もてる男はつらいなー」
ポカポカポカ!
今度は俺に連続でチョップをあて続ける。
「だー!わかった、やめろって」
「はははー、ほらほらもういかないと遅刻ですよー」
佐祐理さんがやんわりと舞を止める。
さすがは佐祐理さんだ。
そして俺達は一緒に登校することにした。
「もう三月だな・・・・・」
「はい、佐祐理も舞も卒業です」
そうか・・・佐祐理さんも舞も卒業か・・・・。
桜が校庭を彩るとき、二人ははこの学校から去ってしまう・・・。
「何か寂しいな・・・佐祐理さんと舞がいなくなるのは・・・」
「祐一さん・・・・」
春は出会いと別れの季節だと誰かが言ってたな。
あの言葉は本当だな・・・・・。
「・・・・・・・・・大丈夫」
「?何がだ、舞」
「・・・・学校から離れても祐一の事嫌いにはならないから」
「舞・・・」
「そうですよ。佐祐理も舞もいつだって祐一さんは大切な人です。
少し離れても、絶対変わりませんよ」
そうだな。俺は何馬鹿なこと考えてたんだ。
俺達の絆はこんなことじゃちぎれたりするわけないもんな。
「俺も舞や佐祐理さんが大好きだぞ!」
ポカ!
「・・・・・・・なぜにたたく?」
「・・・・・・・なんとなく」
「何となくで叩くな!」
「はははー」
そんなこんなでじゃれあいながら俺達は学校に歩いていった。
キーンコーンカーンコーーン♪
四限目の授業の終わりのチャイムが鳴り、俺は机から起き上がった。
「お前、豪快に寝てたな・・・・・」
後ろの席にいた北川があきれたように言った。
「ファ〜〜〜ア〜〜〜、よく寝たな・・・」
俺は大きくのびをした。
「そんなことでテスト赤点になっても知らないわよ」
「大丈夫だ、香里。俺には名雪のノートという名の
最終兵器が用意されている。テスト対策は万全だぜ」
「わ、祐一。私のノート、あてにしてるの?」
名雪が香里と一緒にこちらのほうに来る。
俺は名雪の肩に手を置いた。
「頼んだぞ、名雪。お前だけが頼りだ」
「うにゅ〜、そんな風に頼られても困るよ。
それに祐一もちゃんと授業を受けないとだめだよ」
「あの先生の授業は苦手なんだよ」
あの先生、やたらと説明ばっかりくどくどと話すので、
ほとんど催眠術をかけられているのと変わらないのだ。
少なくても俺にとっては。
でも俺の他にも、うちのクラスの3分の1はこの攻撃に
やられているはずだ(推定)。
「まあ確かにあの先生、かなりくどいけどな・・・」
「そういや北川、お前よくおきてられるな」
こいつも俺と同じくらい授業の態度は悪いはずだが・・・
「北川君も寝てたわよ、さっき」
「・・・なんだと?」
俺は北川のほうを向く。
「結局お前も寝てるんじゃねーか」
「いや・・つい、うとうとしちまってな・・・・・」
「ちなみに名雪もね」
「なんだとーーーー!!」
俺は名雪につめよった。
「お前も寝てたのか、さっきの授業!」
「え、えーと、ちょっとね・・・・」
名雪はしどろもどろに言葉を濁す。
「どうするんだ。お前のノートがないと、
俺がテストで赤手になってしまうだろーが!」
「それは祐一が悪いんだよ〜」
「言い訳するな」
「言い訳じゃないよ〜」
「恐ろしいくらい自分勝手だな、お前」
北川の一言はとりあえず無視するとして・・・・・
「あーあ、まったくみんなまじめに受けられないのかね〜、
俺は悲しいよ、まったく」
「それはあなたもね、相沢君」
香里からの絶妙なつっこみが入る。
待てよ、香里なら・・・・・・・
「香里、お願いがあるのだが」
「いやよ」
「まだ何も言ってないだろうが!」
「じゃあ言ってみなさいよ」
「ノート、貸してくれ」
「いやよ」
思いっきり冷たく突っ放された。
さすがに香里じゃただと言うわけにはいかないか。
「じゃあ今日と明日の昼、デザート付き」
「今日の授業が終わったら渡すわ」
即効でオッケーだった。
うう・・・高くつくなあ・・・・・・
「そろそろ食堂に行こうよ。席がいっぱいになるよ」
「そうだな、じゃあさっさと行くか」
俺達は教室を出て、食堂へと向かった。
<第二話に続く>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
戻る