kanon 「桜咲く季節に 第三話」




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「げ!かなり混んでるな」
俺達が食堂についたとき、中はすでに他の生徒でいっぱいだった。
こうなると注文をするのもかなり困難だろう。
「これじゃあ時間がかかりそうだな」
「A定食、頼めるかな?」
「またA定食?たまには違うものも頼みなさいよ」
「うーん・・・あのイチゴムースが捨て難いんだよ」
相変わらずのイチゴ好きである。
「取り合えず俺と美坂で席を取っておくから、
相沢と水瀬は俺達の注文を頼む」
「わかった、ちゃんと頼んでおくよ」
「あ、相沢君。私はC定食ね。ごちそう様」
そういえばおごるって言ったけど・・・・・。
香里のやつ、遠慮無しに定食を頼むとは・・あなどれん。
「わかったよ・・・で、北川は」
「俺はカレーね」
「お前はちゃんと払えよ」
「・・・けち臭いやつだな」
「あたりまえだ」
俺はしっかり北川から金を受け取り、名雪と一緒に
カウンターの方へ足を運んだ。
とはいってもかなりの人が並んでいたので、なかなか前には進めなかった。
「ううう、名雪ー、大丈夫か?」
「進めないよーー」
名雪はどうやら早くも人の波に飲まれ、身動きがとれないようだ。
仕方ない、あいつの分も運んでやるか。
俺は何とかカウンターへと進もうとしたその時、

どん!

「きゃっ!」
うっかり横から来た生徒をつきとばしてしまった。
俺は慌てて駆け寄る。
「すいません。大丈夫ですか?」
声をかけると、その女生徒は腰をさすりながら立ち上がった。
「はい、大丈夫で・・・・祐一さん?」
「え・・・?あ、栞じゃないか」
どうやら俺と同じように人にもまれてたようである。
「今日は食堂なのか?」
「はい。朝、少し寝坊してしまいまして・・・・」
栞は普段は弁当を毎日作っている。
以前、香里から聞いたことがあったのだ。
「そうか。あ、よかったら一緒にどうだ?香里達もいるぞ」
「お姉ちゃんもきてるんですか?それはごいっしょさせてください」
俺達はカウンターの方へ注文に向かった。


「それで相沢君と一緒になったの?」
「はい。祐一さんに誘われて・・・・・」
その後幾多のもめあいはあったが、何とか注文ができ、
香里達が取ってくれた席に栞を含めて座っている。
「それにしても栞はそれだけでたりるのか?」
栞が注文したのはミニラーメンで、だいたい中茶碗いっぱいくらいの
少量である。だいたいはそれはおかずと一緒に頼むものだが・・・。
栞の場合、それだけである。
「私はこれだけでお腹いっぱいですよ」
「ちゃんと食べないと背が高くなれないぞ」
「そんな事言う人、嫌いです」
「もう祐一、からかっちゃだめだよ」
A定食を食べながら、名雪が俺をたしなめる。
「そういえば、栞ちゃんは進級のほうはどうなったんだい?」
北川はカレーをぱくつきながら尋ねた。
「栞は春休みに一週間補習を受けたら二年生へ進級という形になったわ」
「お姉ちゃんが先生にかけあってくれたんです」
栞は嬉しそうにそう言った。
以前栞が病気にかかっていた時、二人は互いにすれ違っていた。
苦悩と葛藤、その狭間を揺れ動きながら・・・・。
だが今は・・・
「妹を留年させるわけにはいかないからね」
「はい、しっかり頑張ります」
ちゃんと元の仲のいい姉妹になれたみたいだな・・・・。
俺はそれが何となく嬉しかった。
「そうか二年になれるのか。もう一回一年生だったら面白かったのに」
「ひどいです、祐一さん」
むーと俺を睨み付ける。
「何言ってるんだ。俺は栞は一年生のリボンが似合うって誉めてるんだぞ」
「まったく全然嬉しくありません」
「・・・・といいつつすきあり!!」
俺はすばやく栞の茶椀からチャーシューをとって口に入れる。
「あー!そんなことする人、最低です!!」
「はっはっは、油断大敵だ、愚か者!」
「私だって負けられません!えい!!」
栞は俺の定食のから揚げを抜き取って、もぐもぐと食べる。
「コラー!何するんだ、栞。意地汚いぞ!」
「祐一さんにそんなこといわれたくありません!」
「おのれ〜、まさか栞がそんな行動に出るとは・・・・」
「さっきのお返しです」
栞が得意そうに微笑む。
「うぬう。こうなったら禁断の奥義を・・・・」
「やめなさい、二人とも」
香里が空いたトレイで俺達の頭をすばやく払う。
「うう、お姉ちゃん、痛いです・・・」
「じゃあ静かに食べなさい。みんなの迷惑になるでしょう。相沢君もよ」
「は、はい・・・」
香里の迫力に負けて、俺達は静かに食事をとった。


キーンコーンカーンコーン♪

「お、予鈴だな」
「ちょっと長居しすぎたわね」
「急がないと遅刻だよ〜」
名雪がトレイをもって立ち上がる。
「おう。じゃあ栞、またな」
「はい。それではまた、祐一さん」
俺達は食器をかえし、教室に戻った。









<第四話に続く>

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