kanon 「桜咲く季節に 第四話」




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(はあ・・眠たいな・・・・)

俺は6限目の教科書を眺め、ふと周りを見ると、

眠そうにしている名雪の姿が目に入った。

(あいつもそろそろ・・やばそうだな・・・)

教室の外からは、春特有の柔らかい日差しが、

窓際の俺の席にふりそそいでくる。

この季節の日差しはとても心地がよく、

昼食を食べた後ということもあって、眠気を誘う。

(・・・俺もそろそろ・・・・)

次第に瞼が自分の意志に反して重くなってくる。

(まあ、香里にノート借りるからいいかな・・・・)

俺は本能からの命令にしたがって、寝る体勢に入る。

「(小声で)おい、相沢。相沢って!」

寝ようとしていた俺の背中をペンで突っつきながら、北川が声をかけてくる。

せっかくいい気持ちになってたのに・・・・

「(同じく小声で)どうした?言っとくが名雪の家は新聞もうとってるぞ」

「なんでお前に新聞の勧誘なんてやらなくちゃいけないんだ?」

「じゃあ宗教か。悪いけど、俺は無神論・・・」

「だからなんでそっちの方向にもっていくんだ!人の話を聞けって!」

すぐにむきになるから面白いな、こいつ。

「で、何なんだ?」

「たく・・・あそこに居るの、お前のところにすんでる娘じゃないか?」

「え、どこだよ?」

「ほら、あそこの校門の側で立ってる娘」

「校門?」

北川の指差す方を見てみると、確かに校門の側で女の子が一人立っている。

あれは・・・真琴だな。

「どうだ、あの娘だろ?」

「ああ、うちの真琴だ」

真琴は校門によりかかって、時折ちらちら校舎の方を眺めている。

何しにきたんだ、あいつは・・・

「あの娘、お前に会いに来たんじゃないか?」

「え?」

「だって、あの娘、お前によくなついてたじゃないか」

俺にあいに・・・真琴・・・が?

「いや、分からないぞ。ひょっとして学校を見て、喜びに浸るのが趣味かもしれん」

「そんなよくわからん趣味なわけないだろ!」

「人間、十人十色、いろんな奴がいるぜ」

「以前相沢の家に遊びに行ったとき、紹介してもらったけど、

とてもいい娘だった様に見えたが」

「お前のその顔は腐っている」

「顔は関係ないだろ!」

「そこ、さっきから何をうるさく喋っている!」

『あ・・・・・・・・・・』

先生がいつのまにか授業を中断させて、こちらをにらみながら

こめかみに青筋を立てていた。

ちょ、ちょっとでかい声で話すぎた・・・・かな?ははは・・・・

俺は先生の怒鳴り声を聞きながら、心の中でむなしく笑っていた。



きーんこーーんかーーんこーん♪

「はあ・・・かなりしぼられたな」

「相沢が悪いんだぞ」

「何ー!!そういうお前こそ・・・・・」

「はいはい、見苦しいからいいかげんやめなさい、二人とも」

香里が手元のノートで俺達二人の頭を叩いた。

「相沢君だけならともかく北川君までそろって・・・・・

授業中にあんなに騒いだら怒られて当たり前でしょ」

「・・・・俺だけならというのはどういう意味かな、香里君」

「相沢君は時々変なことするからね」

しれっと香里は言った。

いつも変なことばかりで悪かったな・・・・。

「それで祐一、なんであんなに大声だして騒いでたの?」

名雪がこちらの方に来て、俺に話しかけてくる。

「・・・そんなに大きかったか?」

「うん、教室中に響いてたと思うよ」

うーん、夢中だったとはいえ、そんなにでっかい声で話してたのか。

変なことで感心しても仕方ないけど・・・。

「それで、いったい何をあんなにもめてたの?」

香里が話を即座に戻して聞いてくる。

「いや、実はな、北川が授業中にもかかわらず、俺に告白してきたんだ」

「ええ!?そうなの、北川君」

名雪が思いっきり本気にして、北川を見つめる。

「お、おい、相沢!」

「いや〜、俺も北川にそういう趣味があるとは思わなかった。

でも悪いな、北川。俺はノーマルなんだ」

「俺だってノーマルだ!」

「そういう奴に限って、自分はノーマルなんて言うんだ」

「人聞きの悪い事を言うな!」

北川は声を荒たげて、俺につっこみを入れてくる。

「お前、息が荒いぞ」

「誰のせいだ、誰の!」

「もう、けんかはよくないよ。それに祐一もいつまでも北川君を

からかっちゃだめだよ」

名雪がさすがに見かねたのか、横からフォローを入れる。

さすがにからかいすぎたか・・・・

「で、漫才は終わりにするとして、授業中、何を騒いでたの?」

「えーとだな・・・・実は校門に知り合いがいて・・・・ってそうだ、あいつ!」

俺は慌てて教室の窓から、先ほど見ていた校門のほうへと目をむける。

すると、真琴はまださっきの場所でたっていた。

・・・・真琴の奴、まだ・・・・

「・・・・俺、これで帰るわ」

俺は机の引き出しから教科書類を出し、かばんに詰め込め、帰る準備をする。

「え、でもまだHRが終わってないよ」

「それはお前に任せる」

「任せられても困るよ〜」

「北川、代弁は頼んだ」

「HRで出席なんぞとらないって」

「まあとにかく任せた。じゃあな!」

俺は担任が来る前に、鞄を持って、教室から飛び出した。



「え〜と、あいつは・・・と」

俺は上履きを履き替え、外に出て、校門をほうへ視線を向ける。

お、いたいた!

俺は校門にいる真琴へと近づき、声をかける。

「何やってるんだ、真琴」

「あ、祐一・・・・」

真琴は俯いていた顔を上げて、こちらのほうをじっと見た。









<第五話に続く>

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