月姫「エナジー・マイ・エース」その2




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「おはようございます、志貴様」

礼儀正しくお辞儀をして、翡翠はじっとこちらを見つめる。

いつもなら何て事はないのだが、今日は後ろめたい事があるゆえか

背中から冷や汗が出てくる。

「志貴様・・・どうかされましたか?」

「え、な、何が・・・?」

内心ひやひやしながら、俺は愛想笑いを浮かべ尋ねる。

「顔色が優れないようです。お身体に何か異常はありませんか?」

不安と心配を声に出して、翡翠はそっと俺を見つめる。

うう、そんなつぶらな瞳で俺を見ないでくれ・・・・

「あ、ああ別に何でもないよ。今日もいつも通り元気そのものだ、はっはっは・・・」

ああ翡翠、笑い声が乾いている事には気がつかないでくれ・・・・

「・・・・・・・そうですか、それならよろしいのですが・・・・
本日は学校ですが、いかがいたしますか?」

「ああ、制服に着替えていくよ。もう居間に秋葉が待っているんだろ?」

「はい、秋葉様は今日も志貴様をお待ちです。
ではご用意した制服を整えさせて頂きますね」

そういって、翡翠は部屋の中へすたすた入ってくる。

ま、まずい・・・・ベットの下にはアルクェイドがいる。

もしベットに近づいたり、メイクをしようものなら絶対にばれることうけあいだ。

もしばれたら・・・・・



「翡翠、驚く」→「アルクェイド、俺に文句」→「翡翠、この事を秋葉に通告」↓

「結果、全員敵となる」← 「琥珀さん、面白がる」←「秋葉、烈火のごとく怒る」










俺の脳細胞は今、最悪の結論に達した。



それを回避する為には!?

「う、ごほごほ!!喉が、喉が〜〜〜!!」

「!?どうなされました、志貴様!!しっかりしてください!?」

俺のリアクションに、翡翠は顔色を変えて俺の傍に近寄る。

「ちょ、ちょっと急に喉がいがいがしちゃって・・・
悪いけど、水を一杯持ってきてくれるかな?」

翡翠には悪いとは思うが、背に腹は変えられない。

「大丈夫ですか?顔色もよくないようですし、発汗があります。
よろしければお医者様をお呼びいたします。
志貴様にもしものことがありましたら大変ですから・・・」

ああ、やめてくれ、翡翠。

汗は冷や汗だし、顔色が悪いのはばれるかどうかびくびくしているからなんだ〜!!

そこまで心配されると、遠野志貴の心にずきずきと来る。

「だ、大丈夫だから。水を飲めばすぐに治るって。
の、喉がちょっとからからなだけだから・・・・な?」

安心させるように愛想よく笑うと、翡翠も少し落ち着いたようだ。

「・・・・・分かりました、志貴様。
すぐにお持ちいたしますので、少しお待ち下さい」

一礼すると、早々に部屋から出て行く翡翠。

よほど心配させてしまったようで、かなり罪悪感がある。

とりあえず遠ざかる足音にほっとしながら、俺はベットの下に顔を向ける。

「アルクェイド、もういいぞ」

「・・・・・・・むう〜・・・・・」

やはりというか当然というか、ベットの下に置き去りにされたアルクェイドはご機嫌ななめのようだ。

「だ、だって仕方がないだろ?翡翠に見つかるわけにはいかないし、
秋葉とかに知られたら、もっと最悪な事になりかねんからな」

「・・・・ふーん、あれが噂の美人のメイドさんか。
確か翡翠って呼んでいたわね、志貴」

「う・・・・・」

すっとベットから這い出たアルクェイドが、俺をむ〜と睨みながら言葉を続ける。

「あの人にいつも朝を起こしてもらっているのね、志貴って。
なるほど、あの子がいたら私なんて来たら邪魔よね〜」

拗ねモードに入ったアルクェイドは、ひたすら俺につっかかってくる。

うう、そういうのじゃないのだが・・・・

「だ、だから翡翠は純粋に俺を起こしてくれているのであってだな、
別にお前が思うようなどうこうはないって」

「本当に?志貴の事を心配していた時に、ちょっと感じたものがあるんだけど・・・」

「ないって・・・って、そんな事をしている場合じゃない!?
と、とりあえずそろそろ出ていってくれよ。
翡翠がそろそろ戻ってきそうだ」

こうしている間にも翡翠は今ごろ、慌てて水を汲んで戻ってくるだろう。

「む〜、志貴最近ちょっと付き合いが悪いじゃない。
だからせっかくこうして来たのに〜・・・・」

う・・・そういう顔をされると、俺の心もぐらぐらくる。

確かに学校だの何だので、ここの所一緒に遊んだりとかもしてなかったな・・・

「分かった、じゃあ学校が終わった後会おう。
その後は門限までなら遊べるからな、アルクェイドの希望通りの所へいこう」

俺が妥協をすると、アルクェイドは表情を明るくする。

「うんうん!それでいいよ!
じゃあ学校が終わったら、すぐに迎えにいくからね」

拗ねていた顔が、一気ににこにこ顔になるアルクェイド。

こういうアルクェイドを見ていると、俺も誘った甲斐があったってものだ。

少し雰囲気がいい感じに染まっていると・・・・





「兄さんの具合は大丈夫そうなの、翡翠?」

「はい・・・喉を少し煩われたとお聞きしまして・・・」

「近頃調子がよかったので油断したわ。何事もなければいいんだけど・・・」





あの声は秋葉!?

まさか翡翠、心配になって秋葉までよんだのか!?

しまった、口止めしておく事を忘れてたーー!!

「アルクェイド、そういう訳だからとりあえず話はその時にしよう!
早く外に!!」

「今の妹の声よね?私、ちょっと挨拶に・・・・」

「そういう律義な事はまた今度にしてくれ!!また会おう、アルクェイドー!」

「ちょ、ちょっと志貴・・・・!?」

俺は慌てて窓を開けると、外へアルクェイドを追いやった。

ちょっと可哀相だけど、さすがに仕方がない。

俺は窓を閉じると、慌ててベットへ寝て布団をかぶる。



コンコン



「兄さん、秋葉です。体調はいかがですか?」

「秋葉か、ああもう何ともなさそうだ。入ってきていいよ」

やれやれ・・・・間一髪だったか・・・・

「はい、失礼します」



がちゃ



「志貴様、体調はいかがですか?お水をお持ちしました」

翡翠はそっとベットへ寝ている俺に近づいて、水のはいったグラスをおく。

「ありがとう、翡翠。俺はもう大丈夫だ。
どうも昨夜の暑さで喉が乾いていただけみたいだ」

我ながら苦しい言い訳ではあったが、秋葉は安心したらしくほっとする。

「朝兄さんをお待ちしていたら、翡翠から兄さんが体調を崩されたと聞いて
びっくりしました。もう、心配かけさせないでください」

「ごめんごめん。それじゃあ水をもらったし、起きて着替えるかな」

水をごくごく一飲みして、俺はベットから立ち上がると、

「いけません、志貴様。今日は大事を取っておやすみになられた方がいいです」

翡翠が心配顔で、俺を止める。

いや、心配してくれる気持ちは嬉しいが・・・・

「いや、俺はだな・・・・」

「翡翠の言う通りね、兄さん、今日はゆっくりして下さい」

ああ、秋葉まで今日はいやに優しいじゃないか!?

もうちょっとましな言い訳がよかったか!?

今更のように後悔する遠野 志貴だった・・・・・・・











ちなみに追記として、アルクェイドの約束があるので休むわけにはいかず、

二人を説得するのに時間がかかり琥珀さんの助けをかりたという事は・・・・





・・・・・・・・情けないので秘密である・・・・














<その3>に続く

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